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スペシャルインタビュー

第三回:公益財団法人日本サッカー協会 アスレティックトレーナー:早川直樹さん

監督の言葉をそのまま伝えるだけでは、代表選手は動いてくれない。

★監督が変われば、代表チームのコンセプトや方針も変わるんですか?

早川:

基本的なことは変わりませんが、指導の仕方は人それぞれですね。
体力トレーニングを行うとき、サッカーのトレーニングの中でボールを使って身体を鍛えるという考えを持つ人もいれば、サッカーと体力トレーニングを切り離して考える人もいます。
例えば、選手にランニングをさせるとき、前者の場合はドリブルをしながら走らせる。後者の場合はボールを使わずにグラウンドをひたすら走らせる、こんなイメージです。これは方法論の問題ですね。

★選手は混乱しませんか?

早川:

それは説明の仕方次第です。彼らは経験豊富なJリーグのトップ選手ですから、「監督がこう言っているからやれ」というだけでなく、スタッフが監督の伝えようとしている真意をくみ取り、彼らが納得して実践できるように、代表チームのコンセプトに変換して伝える。ある意味で、これがA代表チームの業務のなかで一番大切な仕事かもしれません。

★監督の方針をどのように確認するのですか?

早川:

どのチームでもスタッフが全員集まるミーティングがあります。テクニカル的なことが多いんですが、監督が何を考えているかを直接感じ取ることができるので、とてもいい機会になります。

選手とある程度の距離を置かないと、いい関係は作れない。

★トレーナーの仕事で一番気をつけていることは?

早川:

選手を客観視できるように、彼らと一定の距離を保つこと。選手にとって日本代表に選ばれるということは、とても名誉なことです。よほどのことがない限り選手から弱音を吐くことはありません。選手は多少無理をしてでも、監督やコーチングスタッフに対しては、自分たちのことを積極的にアピールしようとします。
私たちトレーナーは監督やコーチと比べると、もう少し選手に近い立場にいるのかもしれません。体のケアと同様に、メンタル面のケアをするという意味では、適度なガス抜きは必要となりますが、そのさじ加減が意外と難しいんですね。

★親しくなりすぎると、マイナスに作用するということですか?

早川:

私はそう思っています。友達のような関係を築ければ、選手の本音を引き出しやすくなるとは思いますし余計な気をつかわなくてよくなるかもしれません。
しかし、私たちスタッフには選手の気持ちとは反することをやらせなければならないこともあります。そのような場合、あまりにも近すぎる関係がマイナスに働くことがあるからです。




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