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スペシャルインタビュー

第4回:公益財団法人日本サッカー協会 チーフアスレティックトレーナー:前田 弘さん

試合後は、ケガをした選手には声をかけてトレーナールームでしっかりとケア

★試合後、選手にどのようなケアをするのですか?

前田:

試合後に行うのはケガに対する処置と違和感・筋肉の張り感等を感じている部位のケア(マッサージ等は極力控えてます)だけです。1試合だけの場合はスタジアム解散・ホテルに戻ってからの解散が多いのですが、試合中にケガ等の傷害を起こした選手に関しては、所属クラブに戻る前にしっかりと確認しなければならないので、再度、ホテルのトレーナールームにてドクターの診察を受け、ドクターの指示の下でRICE(ライス)処置等を行います。

★トレーナーは、休む時間がありませんね。

前田:

よくそう言われます(笑)。海外遠征の時は長期間日本を離れることもありますし、A代表チームだけでなく、育成年代の強化チーム全般のトレーナー業務も管理しなければなりません。そう考えると確かにハードですけど、それでもクラブチームに所属していた時よりも時間に余裕があるんですよ。代表トレーナーは代表の活動期間中だけですから。

★他競技のトップアスリートのサポートもしていると伺いましたが…

前田:

はい。週に1回の非常勤ですが、国立スポーツ科学センターのリハビリテーション室で他競技のトップアスリートのケアを行っています。例えば、リハビリ選手に対して患部周辺や患部外を手技療法でケアしたり、私の知っている事をアドバイスしたり……。サッカー選手だけでなく、ラグビーや柔道など、様々な競技で活躍するトップアスリートやJISSリハ室のスタッフと接していると、とても良い刺激になります。また最先端のスポーツ科学に関する情報を得ることも出来ますから、代表チームのトレーナーとして活動する上でも非常にプラスになっています。

自分の経験を通して子どもたちにスポーツの魅力や楽しさを伝えていきたい

★オン、オフの切り替えは、どのようにしているのですか?

前田:

実はどこまでがオンで、どこからがオフなのか自分でもよく分からないんです(笑)。代表チームが活動していない時でも、常に選手の状態を把握して、監督に報告しなければならないので、週末は代表選手が出場しているゲームをテレビやインターネット、実際にスタジアムに行ってチェックして、途中交代などがあれば所属チームに連絡をして選手のコンディション状態の把握に努めています。週一回は協会で代表チームのミーティングがありますし……。

★トレーナーという仕事が好きなんですね。

前田:

はい。それはもう、大好きです。まさに天職だと思っています(笑)。小学校・中学校・高校と野球をしていて、夢はプロ野球選手だったんです。体を壊して選手になることは諦めましたが、どうしてもスポーツの世界から離れたくなかったのでトレーナーという仕事を選びました。私がこの世界に飛び込んだ頃は、トレーナーという職業は社会的に認知されていなかったので当初は周囲から反対されましたが、今ではこの道に進んでよかったと心から思っています。

★今後のビジョンについてお聞かせ下さい。

前田:

個人的に何度か小学校に招かれて、子どもたちに講演をしたことがあります。テーマは「夢を持つ大切さ」。そこでいつも「夢の中にいちゃダメだ」と言うんです。夢の中の「の」を取って、「夢中」になって物事に取り組まないと夢に辿り着けないよと。私自身、そうやって目の前の目標を一つずつクリアしてここまで来ることが出来たので、自分の経験を通してスポーツの魅力や楽しさを伝えていきたいですね。




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