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前田:
試合の3時間くらい前に先発隊として2人のトレーナーが準備をするために競技場のロッカールームに入ります。医療器具やテーピングのセットをしたり、試合当日だけは選手の負担を少しでも軽くするためにドリンク類やアイシング等の準備もします。選手が宿舎を出るまで何が起こるか分からないので、私はギリギリまで宿舎に残りますが、それでも試合開始90分前にはロッカールームに入ります。
前田:
ストレッチングやテーピングは選手が自分たちで行う人が殆どですが、コンディションのチェックを兼ねてその補助をする程度です。また試合前にマッサージをすることは殆どありません。選手のパフォーマンスを逆に低下させてしまう可能性もあるからです。選手たちはそれぞれ自分の世界に入っていますから、集中力を妨げないように、そっと手を差し伸べるイメージですね。ですから試合の直前は、ロッカールームの準備が終わってしまえば、作業はそれほど忙しくないんですよ。
前田:
迷わずRICE(ライス)処置を行います。特にねんざや打撲の場合は、すぐにアイシング(冷却)とコンプレッション(圧迫)を行うのが応急処置の基本です。処置が早ければ早いほど、ケガの回復も早くなりますからね。
前田:
個人差はありますけど、すぐにアイシングを行ってテーピングで患部の圧迫をすれば1週間で完治する程度のケガでも、アイシングだけだと2週間、何もしないと全治3週間くらいになってしまいます。プロ・アマ問わず、選手もスタッフもRICE(ライス)処置だけはしっかりとマスターしてほしいですね。
前田:
患部を力任せに圧迫すると、血流が悪くなって循環器障害を起こすことがあるので、そうならないように力加減を調整する必要があります。テーピングに慣れていない人は、クッション性のパッドを患部にあててからテーピングをしたり、また伸縮性のあるテーピングテープを使用すれば、循環器障害を起こすことなく適切に患部を圧迫することが出来ると思います。
前田:
テーピングで応急処置をした場合、貼りっぱなしにして2〜3日放置しておく人がいますが、これは絶対に止めて下さい。毎日外して患部の状態を確かめて、再び巻き直すことが大切です。また皮ふがかぶれやすい人はアンダーラップを巻いてからテーピングをするといいでしょう。