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松田:
確かに何十種目もの競技について理解しなければならないので大変ですが、幸いなことに、ほとんどの選手がトレーニングやメディカルチェックなどでここを訪れるので、コミュニケーションの面でも不自由な思いをすることはありませんね。
松田:
2つあります。
1つは、昨年行われたAFCアジアサッカー連盟のU17アジア選手権。
この試合に帯同したんですが、見事に優勝することができて、今年夏に行われるワールドカップU17にアジア王者として出場が決まりました。簡単な戦いではなかった中で勝利を勝ちとれたので、これは嬉しかったですね。
もう1つは、トリノオリンピックの最終予選。
アイスホッケー女子日本代表が1点差でロシアに負けて出場を逃した試合です。1点差で五輪出場を逃したことは選手も我々も非常に悔しい思いをしました。
彼女たちの夢を叶えるためには何が必要なのかを分析して、次回のバンクーバーオリンピックの出場権をかけて、一緒に戦っています。
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松田:
そんな単純なものではないんです。欠けている能力だけを補おうとすると、優れている能力を活かせなくなることもあります。パワーをつけるために体力トレーニングに費やす時間を長くすれば、技術トレーニングの時間が足りなくなってしまいます。
一日に活動できる時間というのは残念ながら限られています。その中でいかに技術練習の中に必要なフィジカルトレーニングを効率的に組み込んでいけるかが大切だと思います。
そのためにも必要なフィジカルの要素は何なのかという分析が重要です。そのためには科学的な計測と同時に、現場で実際の競技に近いフィールドでのテストを分析することも重要だと思います。
松田:
広い視点でトレーニングを捉えなければならないと思います。
その中の1つのポイントは、体幹バランスと体の使い方にあるかもしれません。現在、体幹や股関節機能を鍛えて土台を強化し、全身のバランスをよくするトレーニングをメインに取り組んでいます。
例えばサッカーの場合、片足でボールを蹴りますから、蹴っていない1本の足で全身を支えることになります。軸足がぶれるようでは、片足で自在にボールをコントロールすることはできません。土台をいかに鍛えていくかということが日本人のスキルを活かすトレーニングになるのではないかと思います。
テーピングはとても奥が深いんですよ。実はトレーナーにはそれぞれにこだわりがあるんです。トレーナーが集まると"小ネタの出し合い"をすることがよくありますね。
テーピングには基本型がありますが、杓子定規に教科書的なテーピングをしてしまうと役に立たないことがあるので、選手の身体状況と競技の特性を理解しておく必要があります。
例えば、サッカーの場合。
選手はボールを蹴らなければならないので、「ボールを蹴れるテーピング、ボールを蹴っても痛くないテーピング」を行います。テーピングの基本をマスターしたうえで、必要に応じてアレンジをしているうちに、現場で役にたつテーピングが身につくと思います。
あと、「動かしたいところには伸縮するテープ」、「動かしたくないところには固定テープ」というように、適切な場所に適切なテープを使用することも大切なので、ある程度テープの種類を揃えておくといいでしょう。