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早川:
初戦は難しいが、2戦目からなら出場可能との判断でした。
最終判断をするための実践テストをすることになったのですが、前夜に宿舎でテーピングのシュミレーションを行ない、最終的には、まるでギプスをしているような状態でした。
選手にとっては監督にプレーできる状態にあることをアピールするために色々な要求をしてきます。前日トレーニングのリバウンドなども考慮すると、患部の状態は変化するので、明日も同じテーピングで良いのかは分からない、そんな状況でした。
テストとはいっても、本番さながらの動きが要求されます。私たちは手に汗握る思いで見守りました。テストを気迫に満ちた動きで見事にやり遂げた選手を見たときは、大きな目標を持った人間の強さを見せつけられました。
早川:
選手と中途半端な人間関係を築いていたら、選手のメンタリティーに少なからず影響を及ぼすことになるでしょう。それがマイナス面に作用したら大変です。
そんな状況でも、私たちは心を鬼にして選手の背中を押さなければなりません。プロの世界とは、そういう世界だと思っています。
早川:
U17、U20、U23、A代表へと上のカテゴリーにつながる選手が育てば、自ずとレベルはアップしていくと思います。
早川:
はい。テクニカルな部分でもプロと育成年代で大きな違いがありますが、トレーナーの立場としても育成年代では、まず自分たちの体について考えさせることからはじめます。
自分たちの体が分かってきたら、次にケアの仕方について考えさせる。やり方を教えるのではなくて、選手たちが自分の力で出来るようにさせることが目的です。
18歳でプロになり、個人差はありますが、試合に出場できるようになる20歳頃までは、このように段階を踏んで指導します。徐々にステージを上げていって、A代表になったら、自分でやらせることもあれば、こちらが完全にサポートしてしまうこともあります。
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早川:
ええ。身長は高くなりましたが、足腰のしっかりした、ぶつかっても倒れないようなガッチリ型の子供が減ったような気がします。体を動かす基礎的な能力は、幼少時の遊びの中で育まれるといわれていますが、遊ぶ場所は減る一方です。
ですから、今までの経験を子供の体力向上に役立てたいですね。それは最終的には日本サッカーの底上げにもつながっていくと思います。
テーピングは、基本的な巻き方を身につけたうえで、その場に応じて臨機応変に処置することが大切です。
使用頻度はプロ選手の方が高く、下の年代になればなるほど低くなります。それは、若い世代の方がケガをしにくいからです。
また育成年代では、プロ選手のように痛みがあるのにテーピングで保護してプレーするべきではありません。ケガをした直後など必要な時に使うならいいのですが、プロ選手がしているからという単純な理由でテーピングをする子供たちもいるようなので、テーピングの使い方を間違わないようにしてください。
学校のクラブなどでは頻繁に使用するアイテムではないので倉庫に放置しがちです。夏場になるとノリが溶けたりして使用感が悪くなるので常温で管理するようにしましょう。