テーピング基礎講座
成⻑期のケガ予防オスグッド・シュラッター病
(ひざの痛み)
オスグッド・シュラッター病(ひざの痛み)とは
下腿にある脛骨(けいこつ)という骨、いわゆるスネの上方部分にストレスが掛かり続け、痛みや腫れなどを伴う障害のことを言います。
10~14歳、特にスポーツをしている成長期の子どもに多く見られる障害で、性別の違いから見てみると、男子の方に多く見られ、女子では男子より約1~2年発症が早いとされています。
発生メカニズム
ふとももの前の筋である大腿四頭筋が脛骨(けいこつ)を引っ張り続けることによって骨の付着部には牽引ストレスが掛かり、骨が炎症を引き起こすこととなります。
「成長期の骨はあまり強くない」という成長期の骨の特徴と、「成長期の筋は硬くなり柔軟性が低下しやすい」という2つの成長期の身体的特徴から、大腿四頭筋の引っ張る力も強くなり、その結果、脛骨(けいこつ)に掛かる牽引ストレスも強くなり発症することとなります。(図1)
症状
①初期では、運動後の膝(ひざ)の痛みや軽い腫れ、患部を押した際の痛みが特徴です。
②進行が進むと、骨が盛り上がりを見せるようになり、運動時の痛みも強く少なからずプレーに支障が出てくることとなります。(図2)
③終末期に至ると、骨の盛り上がりが顕著となり、押した際の痛みや運動時の痛みも強く、プレーも難しくなる可能性が高いでしょう。
④そして盛り上がった骨はさらに牽引ストレスを受け続けると、最悪のケースでは骨自体が剥がれてしまう剥離骨折を招く可能性もあり、ここまで悪化をしてしまうと、程度によりますが3〜6ヶ月という長期間のスポーツ休止とならざるを得ません。(図3)
オスグッド・シュラッター病は、上記のような4つの病期を辿りますが、初期から進行期にかけてスポーツを休止させ安静期間を設けると、短期間で復帰できるというエビデンスもあります。
アドバイス・ポイント
特にゴールデンエイジという最も技術が急激に伸びる時期に運動ができないことは、子どもたちの将来に影響を及ぼすことになります。
「成長期の膝(ひざ)の痛み」=「オスグッド・シュラッター病」ということで、「いくらか運動を中止すればよくなるだろう」などのように、全て自己判断してしまうのではなく、なるべく早い段階で医師の診察を受け、レントゲンやMRIなどの検査を行い、現在がどのような状態であるのか?オスグッド・シュラッター病がどの程度悪化しているのか?を把握することが重要です。
運動をしても良い状態であるのか?それとも中止した方か良いのか?医学的背景を踏まえてこれらを明確にすること、また早期発見すること、早期アプローチが重要となります。
関連するストレッチ
オスグッド・シュラッター病と特に関係の深い筋肉は、大腿部前面の大腿直筋や内側広筋などの大腿四頭筋です。特に入念にこの辺りの筋肉のストレッチを行うようにしましょう。