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成⻑期のケガ予防

成長期は、生涯の中で骨をつくる最も大切な時期で、骨の量も増え骨が丈夫となり身長が一気に伸び体重が増加し、身体の骨の量は20歳までに決まるといわれているため、成長期においては骨の成長が非常に活発に行われています。
成長期の子どもは、からだの成長が終了した成人とは異なり、成長期特有の特徴的なケガが見られ、その代表的なケガに、「腰椎分離症オスグッド・シュラッター病シーバー病」などを挙げることができます。

成長期のケガの問題点

そもそも成長期に大きなケガを発症することの何が問題なのか?

それは、ケガによって子どもたちが長期間プレー出来ないということです。子どもの身体能力、運動能力が著しく発育する時期のことをゴールデンエイジと言い、スキャモンの発育曲線という理論が根拠となっています。

★スキャモンの発育曲線とは?

人のからだのさまざまな器官を4つのパターンに分類し、これらの発育の様子を20歳の値を100%として、それぞれを曲線で示したものです。
3歳でこの器官が発育、10歳ではこの器官が発育というように、時期や年齢によって発育する器官が異なるということです。

①一般型:身長や体重、筋肉、骨格などの発育
②生殖型:第2次性徴に関わる臓器の発育
③リンパ型:体を守るための免疫系の発育
④神経型:脳や脊髄、末梢神経などの発育

その中でも特に、「神経型」については10歳頃までに成人と同じくらいに発育します。
「神経型」は、スポーツに置き換えると素早いステップや細かな動作が出来るといった能力のことを指し、運動神経のようなものとイメージして頂くと分かりやすいと思います。

スポーツ特有のスキルや動作の基礎を築くためにとても重要な時期だとも言われているのです。

この時期に神経型を養うような動作の習得を逃せば、それ以降の習得はとても難しく、ひいてはスポーツ特有の技術習得に大きく影響します。スポーツ特有のスキルや動作の基礎を築くためにとても重要な時期だとも言われているのです。
この時期に神経型を養うような動作の習得を逃せば、それ以降の習得はとても難しく、ひいてはスポーツ特有の技術習得に大きく影響します。

成長期の身体的特徴

成長期の骨と筋肉の成長について

成長期は、生涯の中で骨をつくる最も大切な時期で、骨の量も増え骨が丈夫となり身長が一気に伸び体重が増加し、身体の骨の量は20歳までに決まるといわれているため、成長期においては骨の成長が非常に活発に行われています。
また、骨と筋肉の成長速度については骨の方が早く、筋肉は骨の成長速度に追いつくことができません。
骨は上図のように伸び、隣り合う骨を繋いでいる筋肉は骨と比較すると成長が遅いため、必要以上に伸ばされる力が働き、筋肉が硬くなり柔軟性が低下することになります。そして、図の赤い点で表したように、骨と筋がくっついている付着部は、殆どの場合、骨端軟骨である場合が多く、この骨端軟骨は外力に耐えられる程強度は決して強くないという特徴があり、筋肉が収縮するたびにストレスが掛かることとなります。

以上のことから、成長期の年代は筋肉の柔軟性が低下しやすいため、成長期のスポーツ障害の予防という観点で考えると、日頃から全身の筋肉をストレッチすることが重要であり、またスポーツ障害に特化した部位のストレッチを行うことも有効です。

成長期のスポーツ障害を予防するうえで重要なポイント

特にゴールデンエイジという最も技術習得に有効な時期に運動を中止せざるを得ないことは、子どもたちの将来の人生に多くの影響を及ぼすこととなります。
そうならないように最も重要なことは、なるべく早い段階で医師の診察を受け、医師の判断のもと、レントゲンやMRI・CTなどの医学的検査を行い、現在の患部はどのような状態で原因は何であるのか?また、運動をしても良い状態であるのか?それとも中止した方か良いのか?医学的背景を踏まえてこれらを明確にすること、また早期発見すること、早期アプローチが重要となります。

成長期特有の代表的なケガ

シーバー病(かかとの痛み)

足部のかかとの骨である踵骨(しょうこつ)にストレスが掛かり続け、同部位の痛みや腫れなどを伴う障害のことを言います。
男女7~8歳頃から発症し10歳前後の男子に多く、サッカーや野球、裸足で行う体操競技、剣道などに多く見られます。

オスグッド・シュラッター病(ひざの痛み)

下腿にある脛骨(けいこつ)という骨、いわゆるスネの上方部分にストレスが掛かり続け、痛みや腫れなどを伴う障害のことを言います。
10~14歳、特にスポーツをしている成長期の子どもに多く見られる障害で、性別の違いから見てみると、男子の方に多く見られ、女子では男子より約1〜2年発症が早いとされています。

腰椎分離症(腰の痛み)

腰の骨の疲労骨折のことを言います。
男子に圧倒的に良く起こる成長期のスポーツ障害で、12歳頃から急激に発症し、14歳前後がピークなります。

  • ※監修:立石智彦 先生 / 成長期のケガ予防について

    立石智彦 先生

    立石智彦 先生

    同愛記念病院 整形外科 / (株)Tateishi Medical Support
    東京医科歯科大学卒。これまでに柔道、アメリカンフットボール、サッカー、フットサルなど多くのスポーツ現場で活躍。

    <経歴>
    日本サッカー協会医学委員アドバイザー
    全日本柔道連盟医科学特別委員
    日本社会人アメリカンフットボール協会医科学委員
    <資格>
    日本整形外科学会専門医/日本スポーツ協会認定スポーツドクター/
    日本障がい者スポーツ協会公認・障がい者スポーツドクター
    <活動>
    世界柔道選手権(ジュニア・カデ)大会帯同ドクター
    U-23サッカー日本代表帯同ドクター(2020東京五輪)
    日本サッカー協会JFAアカデミーメディカルスタッフ
  • ※監修:對馬正浩AT / 成長期のケガ予防についてのストレッチ・テーピング

    對馬正浩 AT(アスレティックトレーナー)

    株式会社ナズー / ニチバン株式会社契約トレーナー
    ビーチサッカー日本代表トレーナーとして、ワールドカップにも帯同。また、株式会社ナズーのスタッフとして、
    一般の方やアスリートなどへの治療やリハビリ、コンディショニングを実施。

    <経歴>
    ビーチサッカー日本代表トレーナー
    <資格>
    鍼灸師、あん摩・マッサージ・指圧師/公益財団法人日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナー
    <活動>
    FIFAビーチサッカーワールドカップパラグアイ2019大会帯同トレーナー/FIFAビーチサッカーワールドカップロシア2021大会帯同トレーナー