テーピング基礎講座
成⻑期のケガ予防腰椎分離症(腰の痛み)
腰椎分離症(腰の痛み)とは
腰の骨の疲労骨折のことを言います。
腰椎分離症は、男子に圧倒的に良く起こる成長期のスポーツ障害で、12歳頃から急激に発症し、
14歳前後がピークなります。
発生メカニズム
右の図1は、脊柱が自然なカーブを描いてる正しい姿勢を表しています。
(図1)
図2で表したように何らかの原因によって骨盤が前側に傾いたとします。
そうすると、骨盤の上に乗っかっている脊柱は、骨盤の影響を受けて前方へ倒れます。(図2)
しかし、ずっとこのままでは、身体が前方へ倒れてしまいますので、自然と、無意識のうちにカラダが前方へ倒れないように後方へ戻すように働きます。
その際には、腰を反るようにしてカラダを戻すことになるため、その結果、脊柱全体のカーブが強くなり、特に腰の部分では前側へのカーブが強くなり、腰椎の疲労骨折を引き起こす可能性があります。(図3)
骨盤に関連する後ろのバランスが勝っている状態、例えば、骨盤の後ろ側についている「ももの裏の筋」が硬くなり引っ張ると、骨盤は後ろに傾く=「後傾」するようになります。(図4)
骨盤に関連する前のバランスが勝っている状態、例えば、骨盤の前側についている「ももの前の筋」が硬くなり引っ張ると、骨盤は前に傾く=「前傾」するようになります。(図5)
骨盤の傾きに影響を与えるものに、「ももの前と裏の筋」の下半身だけではなく、上半身の影響もあります。例えば、骨盤の後ろについている「腰・背中の筋」が硬くなり引っ張ると、骨盤は前に傾くようになります。(図6)
以上のように骨盤の上にある脊柱も影響を受け、腰の前側のカーブが強くなり、腰椎にストレスが掛かり続け疲労骨折を招くこととなります。(図7)
症状
初期
腰を反った時の痛みで、安静時やスポーツ中の痛みは特にないのが特徴。コルセットを用いて
約3ヶ月程度固定すれば骨がくっつく確率は90%程度と言われています。
進行期
腰を反った時の痛みと安静時でも痛みがあるのが特徴。ベッドから起き上がる、しゃがむなどの日常生活動作にも支障が出てきます。進行期では約6ヶ月程度のコルセットでの固定を強いられ、骨がくっつく確率は60%程度と言われています。
終末期
骨がくっつく可能性は0%ですので、特に固定期間はありません。腰に炎症が残っていれば「痛い腰痛」、炎症が無ければ「痛くない腰痛」として、痛くない範囲で運動再開という流れになります。
アドバイス・ポイント
特にゴールデンエイジという最も技術が急激に伸びる時期に運動ができないことは、子どもたちの将来に影響を及ぼすことになります。
なるべく早い段階で医師の診察を受け、レントゲンやMRIなどの検査を行い、現在がどのような状態であるのか?腰痛の原因が何なのか?または腰椎分離症がどの程度悪化をしているのか?を把握するようにしましょう。
運動をしても良い状態であるのか?それとも中止した方か良いのか?医学的背景を踏まえてこれらを明確にすること、また早期発見すること、早期アプローチが重要となります。
関連するストレッチ
腰椎分離症と直接的に関係の深い筋肉は、腰部(脊柱起立筋など)や股関節周囲(腸腰筋や大殿筋など)、大腿部の大腿四頭筋やハムストリングスなどです。特に入念にこの辺りの筋肉のストレッチを行うようにしましょう。
※ジャックナイフストレッチは特に有効です。